日本サッカー界の次代を担う中盤の指揮官、藤田譲瑠チマ選手。
ナイジェリア人の父と日本人の母を持ち、圧倒的なボール奪取能力と正確なパス、そして卓越したリーダーシップを兼ね備えた彼は、若くしてJリーグから欧州へと羽ばたき、現在はドイツのブンデスリーガという世界のトップ舞台で戦っています。
本記事では、彼のキャリアの始まりから、現在に至るまでの軌跡とプレースタイルについて詳しく解説します。
東京ヴェルディ:育成の名門で育まれた「止めて蹴る」礎
藤田譲瑠チマ選手のキャリアは、日本屈指の育成組織を持つ東京ヴェルディのジュニアユースから始まりました。
ユース時代の飛躍とプロデビュー
東京ヴェルディユース在籍時の2019年、高校3年生ながらトップチームに2種登録されると、同年9月のアルビレックス新潟戦でJ2デビューを果たします。
ヴェルディ伝統の「個の技術」と「状況判断」を叩き込まれた彼は、中盤の底からゲームを組み立てる能力を早くから発揮しました。
2020年には正式にトップチームへ昇格。
ルーキーイヤーながらリーグ戦41試合に出場し、3得点を記録。
J2という激しい環境の中で、屈強な外国人選手とも渡り合うフィジカルと、10代とは思えない冷静なゲームメイクを披露し、一躍Jリーグ全体の注目を集める存在となりました。
J1での挑戦:徳島ヴォルティスと横浜F・マリノスでの成長
2021年、彼はさらなるステップアップを求めてJ1昇格組の徳島ヴォルティスへ完全移籍します。
徳島でのJ1初挑戦
リカルド・ロドリゲス監督(当時)が築いたポゼッションサッカーを継続する徳島において、藤田選手はアンカーのポジションで重用されました。
チームは惜しくも1年でJ2降格となりましたが、彼は個人としてJ1のスピード感に適応し、28試合に出場。
トップ下からボランチまで、中盤のあらゆる役割を高い水準でこなせることを証明しました。
横浜F・マリノスでのJ1制覇
2022年、その才能を高く評価した横浜F・マリノスが獲得を発表します。
層の厚いマリノスの中盤において、当初は途中出場も多かったものの、徐々に欠かせないピースとなっていきました。
この年、チームは激戦を制してJ1リーグ優勝を果たします。
藤田選手自身もリーグ戦29試合に出場し、タイトル獲得に大きく貢献。
ハイライン・ハイプレスの攻撃的なスタイルの中で、カウンターを未然に防ぐ危機察知能力と、前線へ供給する縦パスの精度がさらに磨かれました。
欧州の舞台へ:ベルギーからドイツ、ブンデスリーガへ
2023年夏、パリオリンピックを1年後に控えた彼は、海外移籍を決断します。
シント=トロイデンVV(ベルギー)
移籍先に選んだのは、多くの日本人選手が在籍するベルギー1部のシント=トロイデンVVでした。
- 2023-24シーズン:移籍当初は適応に時間を要しましたが、徐々に定位置を確保。25試合に出場し、欧州特有の激しいコンタクトの中でもボールを失わない技術を磨きました。
- 2024-25シーズン:主力として33試合に出場。4アシストを記録し、守備だけでなく攻撃の起点としても高いスタッツを残しました。
FCザンクトパウリ(ドイツ)での現在
2025年夏、彼はついに欧州5大リーグの一つ、ドイツ・ブンデスリーガのFCザンクトパウリへとステップアップを果たしました。
2026年現在、藤田選手はチームの中心的な存在として活躍しています。
中盤の要として、強豪ひしめくブンデスリーガの舞台で「ボールを奪える指揮官」としての評価を確固たるものにしています。
日本代表としての歩み:世代交代の象徴へ
藤田選手のキャリアを語る上で、日本代表での活躍は欠かせません。
U-23日本代表の主将として2024年4月に開催された「AFC U23アジアカップ」ではキャプテンを務め、チームを優勝に導きました。
彼は大会MVPに選ばれる圧倒的なパフォーマンスを見せ、守備の強度とリーダーシップの両面で「アジアに藤田あり」を知らしめました。
続く2024年パリオリンピックでもキャプテンを任され、ベスト8進出に貢献。
強豪相手にも臆せず、ピッチ上の誰よりも声を出し、味方を鼓舞し続ける姿は「次世代の日本代表主将候補」として多くのファンに強い印象を残しました。
A代表(フル代表)への定着2022年のEAFF E-1サッカー選手権でA代表デビューを飾って以降、徐々にフル代表にも定着しています。
2026年北中米ワールドカップのアジア予選においても招集されており、遠藤航選手や守田英正選手といった世界レベルのボランチから多くの刺激を受けながら、その座を脅かす存在へと成長しています。
プレースタイルと人物像
藤田譲瑠チマ選手の最大の武器は、「状況判断の速さ」と「ボール奪取の技術」です。
- アンカーとしての完成度:相手の攻撃の芽を摘むインターセプトだけでなく、奪った瞬間に攻撃のスイッチを入れる縦パスを通すことができます。
- 卓越したリーダーシップ:自分より年上の選手に対しても物怖じせず、常にピッチ全体のバランスを見てコーチングを行うことができます。
- メンタリティ:常に「自分が一番成長できる環境」を求めて移籍を選択してきた上昇志向の強さがあります。
最後に
東京ヴェルディの育成組織で芽を出し、Jリーグでの成功を経て、現在は欧州のトップリーグで躍動する藤田譲瑠チマ選手。
2026年を迎え、彼はまさに日本サッカー界の心臓部を担う選手へと進化を遂げました。
ワールドカップ本大会、そしてその先のビッグクラブへの移籍など、彼のキャリアには今後も大きな期待が寄せられています。












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