リヴァプールFCは、イングランド・プレミアリーグに所属するサッカークラブで、世界で最も成功し、愛されるチームの一つです。
1892年に創設されて以来、国内外で数々のタイトルを獲得し、特に1970~80年代の黄金期と近年復活したユルゲン・クロップ時代で知られています。
熱狂的なサポーター「コップ」と共に歌う「You’ll Never Walk Alone」は、クラブの魂を象徴します。
この記事では、リヴァプールの歴史を振り返り、クラブを彩った主な選手を紹介します。
創設と初期:礎の時代
リヴァプールFCは1892年、エヴァートンFCとの対立から生まれました。
エヴァートンのオーナー、ジョン・ホールディングがアンフィールドを保持し、新クラブを設立。
初代監督トム・ワトソンの下、1893年にリーグ戦に参戦します。
1901年に初のリーグ優勝を飾り、1906年にもタイトルを獲得しましたが、1920~30年代は2部リーグに降格するなど苦難の時期も経験しました。
戦前のスター選手には、エリシャ・スコット(ゴールキーパー、1912-1934)がいます。
彼は468試合に出場し、クラブの安定を支えました。
1959年~1980年代:シャンクリーと黄金期
リヴァプールの運命は、1959年にビル・シャンクリーが監督に就任して一変します。
シャンクリーはクラブの文化を再構築し、1962年に2部から昇格。
1964年、65年、73年にリーグ優勝、1965年に初のFAカップを獲得しました。
彼の「サポーターと選手は一つ」という哲学は、今もクラブに息づいています。
後継者のボブ・ペイズリーはさらに飛躍させ、1977年、78年、81年にUEFAチャンピオンズカップ(現チャンピオンズリーグ)を制覇。
1970~80年代にリーグ優勝13回、欧州タイトル4回を獲得し、イングランドの頂点に君臨しました。
この時代の象徴的選手は以下の通りです。
ロジャー・ハント(FW、1958-1969):492試合285ゴール。クラブ歴代2位の得点記録を持ち、1966年ワールドカップ優勝に貢献。
イアン・ラッシュ(FW、1980-1987、1988-1996):660試合346ゴール。クラブ最多得点者で、5度のリーグ優勝、3度の欧州タイトルを獲得。
ケニー・ダルグリッシュ(FW/MF、1977-1990):515試合172ゴール。選手兼監督として3度のリーグ優勝、2度の欧州タイトル。ファンから「キング・ケニー」と愛されました。
1990年代~2000年代初頭:低迷と復活の兆し
1990年を最後にリーグ優勝から遠ざかり、マンチェスター・ユナイテッドの台頭で影が薄くなりました。
それでも、ジェラール・ウリエやラファエル・ベニテス監督の下、カップ戦で存在感を示します。
2001年にはリーグカップ、FAカップ、UEFAカップの3冠を達成。

2005年のチャンピオンズリーグ決勝「イスタンブールの奇跡」は歴史的です。
0-3のビハインドからミランに追いつき、PK戦で優勝。
リヴァプールの不屈の精神を世界に示しました。
この時期の主な選手は以下の通りです。
スティーヴン・ジェラード(MF、1998-2015):710試合186ゴール。クラブの象徴で、2005年の奇跡を牽引。決勝での同点ゴールとリーダーシップは伝説的。
ジェイミー・キャラガー(DF、1996-2013):737試合。地元出身の守備職人で、2005年優勝に貢献。クラブへの忠誠心で愛されました。
マイケル・オーウェン(FW、1996-2004):297試合通算158ゴール。2001年バロンドール受賞者で、スピードと決定力が光りました。
2010年代:クロップ時代と再びの頂点
2010年代初頭、経営難や成績低迷で苦しんだリヴァプールですが、2015年にユルゲン・クロップが監督に就任し、劇的な復活を遂げます。
クロップの高強度「ゲーゲンプレス」戦術は、チームを欧州の強豪に変貌させました。
2019年、チャンピオンズリーグでトッテナムを破り、6度目の欧州制覇。
2020年には30年ぶりのリーグ優勝(プレミアリーグ)を達成。
パンデミック下での無観客試合も、ファンの心を掴みました。
2022年にはリーグカップとFAカップの2冠を達成し、クロップの遺産は色褪せません。
クロップは2024年に退任しましたが、後任のアーネ・スロットにも期待が集まります。
主な所属選手:リヴァプールのスターたち
リヴァプールの歴史を彩った選手たちを紹介します。
ビリー・リダル(FW、1923-1936):534試合228ゴール。戦前の得点王で、リーグ優勝2回に貢献。冷静なフィニッシュが持ち味でした。
ケビン・キーガン(FW、1971-1977):323試合100ゴール。1973年、77年のリーグ優勝、1977年欧州制覇の立役者。ダイナミックなプレーで人気を集めました。
グレアム・スーネス(MF、1978-1984):359試合55ゴール。ハードタックルとパス精度で中盤を支配。3度の欧州タイトルを獲得。
アラン・ハンセン(DF、1977-1991):620試合3ゴール。守備の名手で、8度のリーグ優勝、3度の欧州タイトル。冷静なリーダーシップを発揮。
ジョン・バーンズ(MF、1987-1997):407試合108ゴール。ドリブルと創造性で観客を魅了。1988年、90年のリーグ優勝に貢献。
ロビー・ファウラー(FW、1993-2001、2006-2007):369試合183ゴール。「ゴッド」と呼ばれた生粋のストライカー。驚異的な得点感覚で記録を量産。
フェルナンド・トーレス(FW、2007-2011):142試合81ゴール。スピードと決定力で一時代を築き、2008年ユーロ優勝にも貢献。
ルイス・スアレス(FW、2011-2014):133試合82ゴール。2013-14シーズンの31ゴールで得点王。創造性と闘志でチームを牽引。
モハメド・サラー(FW、2017-):349試合211ゴール(2025年4月時点)。クラブ歴代5位の得点記録。2019年、20年の優勝に貢献し、3度の得点王。
フィルジル・ファン・ダイク(DF、2018-):279試合26ゴール。世界最高のセンターバックで、2019年、20年のタイトル獲得の要。
サディオ・マネ(FW、2016-2022):269試合120ゴール。アフリカ出身のスターで、スピードと決定力が2019年、20年の成功を支えた。
トレント・アレクサンダー=アーノルド(DF、2016-):317試合19ゴール。地元出身の右サイドバックで、創造的なパスが武器。2025年も活躍中。
今後の展望
リヴァプールは、19回のリーグ優勝、6回のチャンピオンズリーグ、8回のFAカップなど、数々の主要タイトルを誇ります。
2025年、スロット新監督の下、若手とベテランの融合でさらなる成功を目指します。
ライアン・グラフェンベルフやコーディ・ガクポの成長、アレクサンダー=アーノルドとサラーのリーダーシップが鍵です。
課題は、主力の高齢化とアンフィールド拡張後の財政バランスですが、サポーターの後押しで乗り越えられるでしょう。
リヴァプールの歴史は、逆境を跳ね返す物語です。
シャンクリーの情熱、ジェラードの魂、サラーの輝きは、時代を超えて「レッズ」を定義します。
次のタイトルを目指し、アンフィールドの歌声は響き続けます。
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