SSCナポリ(Società Sportiva Calcio Napoli)は、イタリア南部のナポリを拠点とするプロサッカークラブで、イタリアサッカー界において最も成功した南部出身のクラブとして知られています。
クラブの歴史は1904年にまで遡り、数々の浮き沈みを経て、現在ではセリエAの強豪として名を馳せています。
特にディエゴ・マラドーナの時代に黄金期を迎え、その後も多くの名選手がクラブに貢献してきました。
以下に、その歴史と主な所属選手について詳しく述べます。
クラブの創設と初期の歴史
SSCナポリの起源は、1904年にイギリス人船員ウィリアム・ポッツがナポリにサッカーをもたらしたことに始まります。
彼は地元のナポリ人と協力し、「Naples Foot-Ball Club」を設立しました。
当初のクラブカラーは濃淡の青いストライプで、ナポリ湾の青い海を象徴していました。
1926年8月25日、ジョルジョ・アスカレッリ会長の下でクラブ名が「Associazione Calcio Napoli(ACナポリ)」に変更され、正式に現在の形へと発展しました。
この時期、ファシスト政権の圧力によりクラブの「イタリア化」が進められ、新スタジアム「スタディオ・ミリターレ・デッラレナッチャ」に移転しました。
初期のナポリは苦戦を強いられ、初シーズンではわずか1ポイントしか獲得できませんでした。
しかし、イタリアサッカー連盟(FIGC)の支援を受け、セリエAの前身であるディビジオーネ・ナツィオナーレに再加入。
パラグアイ出身のアッティラ・サルストロが加入すると、彼の得点力でクラブは徐々に力をつけ、初代の英雄としてファンに愛されました。
サルストロは後にマラドーナやマレク・ハムシクに破られるまで、クラブの歴代最多得点記録を保持していました。
マラドーナ時代と黄金期
ナポリの歴史において最も輝かしい時代は、1984年にディエゴ・マラドーナがバルセロナから1200万ユーロという当時の世界最高額で移籍してきた時期です。
マラドーナ加入前のナポリは中堅クラブに過ぎませんでしたが、彼の存在が全てを変えました。
1986-87シーズン、マラドーナ、ブルーノ・ジョルダーノ、カレカの攻撃トリオ「MaGiCa」が活躍し、クラブは初のセリエA優勝を達成。
南イタリアの本土チームとして初のリーグ制覇は歴史的快挙であり、同シーズンにはアタランタを4-0で下してコッパ・イタリアも獲得し、ダブルを達成しました。
1988-89シーズンにはUEFAカップを制覇し、欧州の舞台でも成功を収めました。
翌1989-90シーズンには再びセリエAを制し、マラドーナはナポリの象徴として文化的・社会的アイコンに昇華。
ナポリ市民にとって、彼は単なる選手を超えた存在となりました。
しかし、1991年に薬物問題で出場停止処分を受け、1992年にクラブを去ると、ナポリは低迷期に突入します。
低迷と復活
マラドーナ退団後、ナポリは財政難に苦しみ、2004年には破産を宣言。
新たなオーナー、アウレリオ・デ・ラウレンティスが債務を清算し、クラブを再建しました。
この時期、クラブはセリエC1からの再スタートを余儀なくされましたが、徐々に力を取り戻し、2007-08シーズンにセリエA復帰を果たします。
2010年代にはエディンソン・カバーニやマレク・ハムシクらが台頭し、2011-12シーズンに25年ぶりのコッパ・イタリア優勝を達成。
2010年代後半から2020年代にかけては、ドリース・メルテンスやロレンツォ・インシーニェがチームを牽引し、2022-23シーズンには33年ぶりのセリエA優勝を果たしました。
この優勝は、マラドーナ時代以来の快挙としてファンに大きな感動を与えました。
主な所属選手
ディエゴ・マラドーナ(1984-1991)
前述の通り、マラドーナはナポリ史上最も偉大な選手です。
259試合で115ゴールを記録し、2度のセリエA優勝とUEFAカップ制覇に貢献。
彼のテクニックとリーダーシップは伝説として語り継がれています。
アッティラ・サルストロ(1926-1937)
クラブ初のスター選手で、80ゴールを記録。
初期のナポリを支え、ファンに愛された存在です。
マレク・ハムシク(2007-2019)
スロバキア出身のミッドフィールダーで、520試合に出場しクラブ最多出場記録を保持。
121ゴールを挙げ、現代ナポリの象徴として活躍しました。
ドリース・メルテンス(2013-2022)
ベルギー出身のストライカーで、113ゴールを記録しました。
ビクトル・オシムヘン(2020-)
ナイジェリア出身のフォワードで、2020年にリールから7000万ユーロで加入。
2022-23シーズンのセリエA得点王となり、優勝に大きく貢献しました。
現在のナポリと未来への展望
2025年現在、ナポリはスタディオ・ディエゴ・アルマンド・マラドーナを本拠地とし、54,726人の観客を収容可能です。
クラブはセリエAでの競争力を維持しつつ、欧州での成功を目指しています。
マラドーナの遺産を引き継ぎつつ、新たな歴史を刻むべく、若手選手の育成にも力を入れています。
ナポリの歴史は、情熱的なファンと共に歩んできた物語です。
マラドーナ時代のような輝きを再現しつつ、持続的な成功を追求するクラブの姿勢は、今後も注目に値します。
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