イングランド南西部の海辺の町ボーンマスにルーツを持つAFCボーンマスは、1899年の創設以来、財政難や下位リーグでの苦闘を繰り返しながらも、驚異的な上昇を遂げました。
エディ・ハウ監督の時代にわずか6年で3度の昇格を果たし、2015年にプレミアリーグに初登場。
以来、降格と再昇格を経験しつつ、2024-25シーズンにはクラブ史上最高の9位を記録するまでに成長しました。
この記事では、そんな「チェリーズ」の波乱万丈の歴史と、チームを支えてきた主な選手たちに迫ります。
創設と初期の時代(1899-1920年代)
AFCボーンマスは、1899年の秋にボスコム・フットボールクラブとして創設されました。
これは、ボスコム・セント・ジョーンズ・インスティテュート・フットボールクラブの残存から生まれ、初代会長はJ. C. Nutt氏でした。
最初はボーンマス・アンド・ディストリクト・ジュニア・リーグやハンツ・ジュニア・カップで競い、キャッスルメイン・アベニューのピッチで試合を行いました。
3シーズン目からキングス・パークに移り、1905-06シーズンにシニア・アマチュア・フットボールに進出しました。
1910年、地元実業家J.E. Cooper-Dean氏がキングス・パーク隣の荒地に長期リースを提供し、デーン・コートをホームグラウンドとして建設しました。
この年、クラブは初のプロ選手Baven Pentonを獲得しました。
ニックネーム「ザ・チェリーズ」は、チェリー・レッドのストライプのユニフォームか、デーン・コート近くのチェリーツリーの多いクーパー・ディーン邸宅に由来します。
1913-14シーズンにFAカップに初出場しましたが、第一次世界大戦で中断しました。
1920年にサザン・リーグに昇格し、1923年にフットボール・リーグのサード・ディビジョン・サウスに選出されました。
35年間このディビジョンに在籍し、1946年にサード・ディビジョン・サウス・カップを優勝しました。
1950年代から1980年代:下位ディビジョンでの苦闘と初の昇格
1958年のフットボール・リーグ再編でサード・ディビジョンに置かれましたが、1970年にフォース・ディビジョンに降格。
1970-71シーズンに即時昇格を果たしました。
しかし、1975年に再びフォース・ディビジョンに降格し、1981-82シーズンに昇格しました。
1984年にはアソシエイト・メンバーズ・カップを優勝し、ハル・シティを2-1で破りました。
ハリー・レッドナップ監督の下、1986-87シーズンにサード・ディビジョン優勝を果たし、クラブ史上初のセカンド・ディビジョン昇格を達成しました。
セカンド・ディビジョンでは3シーズンを過ごし、1988-89シーズンの12位が当時の最高位でした。
1990年代から2000年代:財政難と再建
1990年代後半に財政難に陥り、1997年に管理下に入りました。
2002年にフォース・ディビジョンに降格しましたが、2003年のプレーオフで即時昇格を果たしました。
2008年、再び管理下に入り、17ポイント減点でリーグ・ツー降格の危機に瀕しましたが、エディ・ハウ監督の指導で生き残りました。
ハウは31歳で就任し、当時フットボール・リーグ最年少監督でした。
プレミアリーグへの歴史的昇格(2010年代)
ハウ監督の下、クラブは6年で3度の昇格を果たしました。
2009-10シーズンにリーグ・ツー2位、2012-13シーズンにリーグ・ワン2位、2014-15シーズンにチャンピオンシップ優勝で、クラブ史上初のプレミアリーグ昇格を達成しました。
2015-16シーズンは16位、2016-17シーズンは9位(クラブ最高位)と健闘しました。
2017-18は12位、2018-19は14位でしたが、2019-20シーズンに降格。
ハウ監督は相互合意で退任しました。
2016年にはファイナンシャル・フェアプレー違反で475万ポンドの罰金を科せられました。
2020年代:再昇格と安定したプレミアリーグ在籍
降格後、ジェイソン・ティンデール監督が就任しましたが、2021年に解任。
ジョナサン・ウッドゲートがシーズンを終え、6位でプレーオフ進出も敗退しました。
2021年にスコット・パーカーが就任し、2021-22シーズンにチャンピオンシップ2位(88ポイント)で再昇格。
15試合無敗の好スタートを切りました。
しかし、2022-23プレミアリーグ序盤の9-0大敗後、パーカーは解任され、ゲイリー・オニールが暫定監督から正式監督に。
オニールは降格圏脱出に成功しました。
2022年12月、アメリカ人実業家ビル・フォーリー率いるブラック・ナイト・フットボール・クラブがクラブを買収。
マイケル・B・ジョーダンやヌラ・サーカーが少数株主です。
2023年6月、オニールが退任し、アンドニ・イラオラが監督に就任。
2023-24シーズンにプレミアリーグ史上最高の48ポイントを獲得し、12位。
2024-25シーズンには56ポイントで9位(15勝、58得点、46失点)とクラブ記録を更新し、最高位を更新しました。
主な所属選手
AFCボーンマスの歴史を彩る選手は多く、特にプレミアリーグ時代に活躍した面々が目立ちます。
テッド・マクドゥーガル
1970年代の得点王。
1970-71シーズンに42ゴールでクラブ記録を樹立しました。
スティーブ・フレッチャー
クラブ最多出場記録保持者(567試合)。
1992-2008年在籍しました。
ネイサン・アケ
2017-2020年在籍のDF。
マンシティに移籍後、活躍。ボーンマスでは安定した守備を披露しました。
カルム・ウィルソン
2014-2020年在籍のFW。
プレミアリーグで126試合出場、109ゴール。ニューカッスルに移籍後も活躍中です。
ジョシュア・キング
2015-2020年在籍のFW。
161プレミア出場。
得点とアシストでチームを支えました。
ドミニク・ソランケ
2024年加入のFW。
リバプールから移籍し、得点源として期待されています。
アダム・スミス
2014-現在、180プレミア出場。
最多出場DFの一人です。
スティーブ・クック
2011-2022年在籍、168プレミア出場。
キャプテンとして守備をリードしました。
ライアン・フレイザー
2013-2020年在籍。
ドリブルとアシストで攻撃を活性化。
アントワーヌ・セメンヨ
2023年加入のFW。
2024-25シーズンに活躍、クラブの攻撃を牽引。
その他、ブレット・ピットマン、ダン・ゴスリング、サイモン・フランシス、チャーリー・ダニエルズらがプレミアリーグで100出場以上を記録しています。
まとめ
AFCボーンマスは、創設以来の苦闘から、エディ・ハウの奇跡的昇格、そしてイラオラ監督の下での安定したプレミア在籍へと進化しました。
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