セリエAのパルマで正守護神として活躍し、日本代表の守護神ポジションを確立した鈴木彩艶(ザイオン)。
2024年7月にパルマへ完全移籍。中田英寿以来2人目の日本人選手となり、日本人GKとして初めてセリエAに挑戦しました。
移籍金は17億円、契約は2029年6月30日までの5年間です。
1年目の2024-25シーズンは37試合に出場してチームの残留に貢献し、チーム内での信頼を確立しています。
192センチ100キロの体格から生み出すセービングとビルドアップ能力で欧州の舞台に存在感を示す23歳は、2026年W杯に向けて日本の最後の砦を担っています。
原点と学生時代
2002年8月21日、アメリカ・ニュージャージー州ニューアーク生まれ。ガーナ人の父と日本人の母を持ち、生後まもなく埼玉県さいたま市浦和区で育ちました。
名前の彩艶(ザイオン、Zion)は聖書に登場する聖なる丘「Zion」に由来しています。
幼稚園の頃に兄の影響でサッカーを始め、浦和大東スポーツサッカー少年団に入団。
その後小学校時代から浦和レッズのアカデミーに所属しました。
浦和という土地でレッズのアカデミーに育てられた経歴が、後のキャリアの土台になります。
浦和ユース在籍中の2019年2月1日、16歳5カ月11日というクラブ史上最年少でプロ契約を締結。
8月には2種登録選手としてトップチームに登録されました。
世代別代表としての経歴も際立っています。
2017年9月、FIFA U-17ワールドカップのU-17日本代表メンバーに飛び級で選出。
2019年5月にはFIFA U-20ワールドカップのU-20日本代表にも飛び級で選ばれています。
2021年7月には最年少の18歳で東京オリンピックのU-24日本代表メンバーに飛び級で選出されました。
プロ入り後の歩みと転機
2021シーズンより正式にトップチームへ昇格。
3月2日のルヴァンカップ・湘南ベルマーレ戦で公式戦初出場を果たし、GKとしてクラブ最年少出場という記録も同時に打ち立てました。
5月9日のJ1リーグ・ベガルタ仙台戦では、それまでレギュラーを務めていた西川周作に代わり初のリーグ戦先発でチームが無失点勝利。
22日のヴィッセル神戸戦でも無失点に抑え、川口能活以来史上2人目となるJ1デビューから3戦連続無失点を達成しました。
しかし浦和には絶対的守護神の西川がいます。ポジションを奪いきれず、試合に出られない時期が続きました。
それでも腐らず、西川から学び続けた姿勢が後の成長につながっています。
2021シーズンはルヴァンカップの活躍が評価され、GKとして史上2人目となるニューヒーロー賞を受賞しました。
転機となったのが欧州移籍です。浦和レッズからベルギーのシント・トロイデンへ移籍した2023年夏、世界最高峰の強豪マンチェスター・ユナイテッドからもオファーが届きました。
しかし出場機会を優先して断っています。「所属クラブでピッチに立ち続けなければ日本代表に招集される可能性がなくなる」という判断からでした。
少年時代からの夢であるプレミアリーグを自ら手放す選択は、W杯という長期の目標があったからこそできたものです。
2024年7月にパルマへ完全移籍。1年目からセリエAで正守護神として活躍し、チームを残留に導きます。
2025年11月、試練が訪れます。左手第3指と舟状骨の骨折でキャリア初の長期離脱。
しかし「W杯に間に合わない不安はなかった」と手術3日後からリハビリを開始しました。
右手1本でのハンドリング、特殊メガネをつけて神経を鍛える脳のトレーニング、英会話やピラティスまで、1日のスケジュールをびっしり埋めるリハビリ期間でした。
2026年3月の英国遠征で約5カ月ぶりに代表復帰。
3月29日のスコットランド戦、4月1日のイングランド戦に先発し、ともに1-0の完封勝利に貢献しています。
プレースタイルの特徴と主な実績
思い切りのよい飛び出しと冷静なセービング、そしてビルドアップ能力の高さ。
足元の技術を活かしてチームの攻撃の起点となれるGKです。
192センチという体格でゴールマウスをおおい、反射神経の速さで相手のシュートを弾き返します。
練習終わりに動画で自分の動きをチェックするほどの徹底ぶり。
キック1本でチームのチャンスを演出できるロングキックの精度と飛距離も一級品です。
2023年11月、W杯アジア2次予選のシリア戦に出場し、川口能活が持っていた21歳220日でのW杯予選GK最年少出場記録を塗り替える21歳92日での出場を果たしました。
2024年1月のAFCアジアカップ2023では正GKとして全試合に出場しています。
主な受賞歴として、Jリーグニューヒーロー賞(2021年)。国際Aマッチ通算22試合出場(2026年4月時点)。
まとめ
マンチェスター・ユナイテッドのオファーを断り、出場機会を選んだ。
浦和レッズの西川周作という大きな壁の前で長期にわたって我慢し、欧州でステップを踏んで今のポジションを手にしました。
骨折からの離脱も、「W杯という目標があるから焦りはなかった」と語るメンタルの強さが、このGKの一番の特徴かもしれません。
2025年夏にも複数のプレミアリーグクラブから獲得打診がありましたが、W杯前の移籍リスクを考えてパルマに残留することを選んでいます。
23歳、2026年W杯に向けて最高の状態で照準を合わせ続ける日本の守護神。
ウェンブリーでスーパーセーブを見せた夜のように、本番の舞台でも彼が日本の最後の砦として立ちはだかる場面を、多くのサッカーファンが楽しみにしています。












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