茨城県鹿嶋市、神栖市、潮来市、行方市、鉾田市の5市をホームタウンとする鹿島アントラーズ。
Jリーグ開幕時、人口わずか数万人の「小さな町の奇跡」から始まったこのクラブは、今や日本で最も多くのタイトルを獲得した「常勝軍団」としてその名を轟かせています。
本記事では、1993年のJリーグ開幕から、2025年の劇的なリーグ制覇、そして新たな転換期を迎えた2026年現在の歩みを詳しく振り返ります。
鹿島アントラーズの歴史:勝利至上主義の系譜
鹿島アントラーズの前身は住友金属工業蹴球部です。
プロ化に際しては「参加は99.9%不可能」と言われながらも、神様ジーコの招聘と専用スタジアムの建設という熱意でオリジナル10の座を掴み取りました。
黎明期と「ジーコ・スピリット」の浸透(1993年 – 1999年)
1993年のJリーグ開幕戦、ジーコがハットトリックを決め、名古屋グランパスを5-0で破った衝撃は今も伝説です。
1996年には初のJリーグ年間王者に輝き、ジーコが植え付けた「献身・尊重・誠実」という精神(ジーコ・スピリット)がクラブの根幹として定着しました。
この時期、ジョルジーニョやレオナルドといったブラジル代表クラスの名手が揃い、華麗さと強さを兼ね備えた黄金期の礎が築かれました。
三冠達成と黄金時代の到来(2000年 – 2002年)
2000年、トニーニョ・セレーゾ監督のもと、J1リーグ、ナビスコカップ、天皇杯のすべてを制する「国内三冠」を日本サッカー史上初めて達成しました。
小笠原満男、中田浩二、本山雅志ら「黄金世代」が中心となり、鹿島の勝負強さは盤石のものとなりました。
2001年にはリーグ連覇を果たし、名実ともに日本のトップクラブとしての地位を確立しました。
前人未到のJリーグ3連覇(2007年 – 2009年)
2007年、オズワルド・オリヴェイラ監督就任1年目に最大勝ち点差10を逆転して優勝を果たすと、そこから2009年まで前人未到の「Jリーグ3連覇」を成し遂げました。
この時代は、岩政大樹や内田篤人といった守備陣の成長と、マルキーニョスの得点力が噛み合い、勝負どころを逃さない「鹿島らしさ」が最も際立った時期でした。
アジア制覇と20冠への道のり(2016年 – 2025年)
2016年には石井正忠監督のもとJ1を制し、同年のクラブワールドカップではレアル・マドリードを相手に延長戦まで持ち込む激闘を演じ、世界にその名を知らしめました。
2018年には悲願のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)を初制覇。
その後数年の無冠期間を経て、2025年、鬼木達監督を招聘した初年度に、9年ぶり9回目となるJ1リーグ優勝を達成。国内主要タイトル20冠(ACLを含め21冠)という大金字塔を打ち立てました。
クラブの歴史を彩った主な所属選手
鹿島の強さは、常に「個」の力と「組織」の規律が融合している点にあります。
ジーコ(Arthur Antunes Coimbra)
クラブの象徴であり、「神様」と称される存在。
1991年から選手としてプレーし、引退後もテクニカルディレクターとして長年クラブを支えました。
彼がいなければ、今の鹿島アントラーズは存在しません。
小笠原満男
黄金世代の中心であり、長年キャプテンを務めた「鹿島の象徴」。
冷静な判断力と、勝利のためには手段を選ばない執念、そして時折見せる決定的なパスで数多くのタイトルをもたらしました。
2018年に惜しまれつつ引退しましたが、その魂は今もチームに受け継がれています。
内田篤人
2006年に加入し、高卒1年目から右サイドバックの定位置を確保。
3連覇に大きく貢献した後、ドイツのシャルケでも成功を収めました。
2018年に鹿島へ復帰し、ACL制覇に貢献。
端正なルックスだけでなく、知的なプレーとリーダーシップでファンを魅了しました。
鈴木優磨
鹿島のアカデミー出身。
闘争心剥き出しのプレースタイルで、2018年のACL制覇時にはMVPに輝きました。
ベルギーでの活躍を経て復帰後は、エースとしてだけでなく、精神的支柱としてもチームを牽引。
2025年のリーグ制覇においても、絶対的なエースとして君臨しました。
2025年の立役者:レオ・セアラと早川友基
2025シーズンの優勝に欠かせなかったのが、Jリーグ史上初の「得点王と最優秀ゴール賞」をダブル受賞したレオ・セアラ選手です。
また、GKとしてクラブ史上初となる年間MVPに輝いた早川友基選手の安定した守備は、新生・鹿島の象徴となりました。
まとめ:2026年、新時代へ
2026年、Jリーグがシーズン移行(秋春制)への準備期間となる「百年構想リーグ」を戦う中、鹿島アントラーズは王者の貫禄を漂わせています。
ジーコが撒いた種は、数多のタイトルという花を咲かせ、今や強固な大樹となりました。
鬼木監督のもとで「勝者のメンタリティ」を再燃させたチームは、さらなるタイトルの積み上げと、世界との再戦を見据えています。
「すべては勝利のために」。
この揺るぎない哲学がある限り、鹿島アントラーズの歴史に停滞という文字はありません。













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