鹿島アントラーズのGK・早川友基選手は、2025シーズンにJリーグ最優秀選手賞(MVP)を受賞した、現在の日本サッカー界で最も輝きを放つ守護神のひとりです。
GKのMVP受賞は2010年の楢崎正剛(名古屋グランパス)以来、実に15年ぶり2度目という歴史的な快挙。
リーグ戦38試合フルタイム出場でシーズン最多セーブ数107回を記録し、鹿島の9年ぶり9度目のリーグ優勝を最後尾から牽引しました。
シュートストップの反応速度、ビルドアップにおける正確なフィード、そしてチームを鼓舞するリーダーシップ。
そのすべてが高い次元で揃う早川は、Jリーグ屈指のGKとして確かな地位を築いています。
原点と学生時代
神奈川県相模原市で生まれた早川は、小・中学生時代を横浜F・マリノスの育成組織プライマリーとジュニアユースで過ごしました。
全国屈指の育成環境で研鑽を積みましたが、ユースへの昇格は叶わず。
この経験は多くの選手が心を折る場面ですが、早川はそこで諦めませんでした。
桐蔭学園高等学校に進学し、サッカーを続けると、卒業後は明治大学サッカー部へ。
大学では常本佳吾、小柏剛、蓮川壮大、佐藤瑶大、佐藤凌我と錚々たるメンバーと同期として切磋琢磨しました。
大学での成長は目を見張るものがありました。関東大学サッカーリーグ戦でベストイレブンを2度受賞(2019年・2020年)し、デンソーカップには関東大学選抜Aとして選出されるなど、アマチュア最高峰の舞台で実力を証明。
プロスカウトの目を惹くには十分な実績を残し、2021年から鹿島アントラーズへの加入が2020年6月に発表されました。
マリノスのユースに上がれなかった少年が、Jリーグ最多タイトルを誇る名門に扉を開けるまでの道のりは、決してまっすぐではありませんでした。
プロ入り後の歩みと転機
2021年に鹿島アントラーズへ加入した早川は、最初の1年半はなかなか出場機会を得られない日々が続きました。
当時のゴールマウスにはクォン・スンテや沖悠哉が立ちはだかり、公式戦初出場は2021年6月16日の天皇杯2回戦・Y.S.C.C.横浜戦。
満を持してのJリーグデビューは、2022年9月16日の第30節・サガン鳥栖戦のことです。
スタメンに抜擢されると、そこから出場機会を着実につかみ取り、シーズン終了まで正GKとしてゴールマウスを守り続けました。
真の転機となったのは2023シーズンです。
完全なる正GKとして開幕からポジションを確保し、この年から3シーズン連続でリーグ戦全試合フル出場という鉄人ぶりを発揮。
2024シーズンには引退したクォン・スンテから「背番号1」を受け継ぎ、名実ともに鹿島の守護神として歩み始めました。
2025シーズンは早川にとってすべてが噛み合った1年でした。
月間ベストセーブ賞を年間4度受賞(4月・9月・10月・11~12月)、10月には月間MVPにも選出。
シーズン終盤、優勝争いが佳境を迎えた第37節・東京ヴェルディ戦ではビッグセーブを連発して1-0の勝利を守り抜き、優勝への望みを繋ぐ守護神として名を馳せました。
選手会長も務めながらのこの活躍は、グラウンド内外でのリーダーシップを体現するものでした。
日本代表としても飛躍の年となりました。
2025年7月のEAFF E-1サッカー選手権で代表初招集を受け、7月12日の中国戦でフル出場してA代表デビュー。
その後もキリンチャレンジカップなど代表活動に継続的に参加し、2試合連続無失点という結果を残しています。
プレースタイルの特徴と主な実績
早川の最大の武器は、圧倒的なシュートストップ能力と広い守備範囲です。
187センチの体躯から繰り出す素早いセービングと、反射神経の鋭さで際どいシュートをことごとく弾き返す姿は、まさにゴールを守る砦そのもの。
2025シーズンに記録したリーグ最多107回というセーブ数は、それだけ多くの危機的場面でチームを救い続けたことを意味します。
現代GKとして求められるもうひとつの能力、足元の技術と判断力も高水準にあります。
ビルドアップ時に慌てず相手のプレスラインを読み、サイドバックやボランチへ精度の高いパスを供給する姿は、後方から鹿島の攻撃リズムを生み出すパズルの一ピースです。
単にボールを跳ね返すだけでなく、攻撃の起点になれる点が、現代トップGKとしての評価を高めています。
また、精神的な安定感もひとつの強みです。
同点や逆転を許した直後でも表情を崩さずチームに指示を送り続ける姿は、守備陣に落ち着きをもたらします。
選手会長として迎えた2025シーズン、チームがタイトルを手繰り寄せていく過程でそのリーダーシップはさらに際立ちました。
代表的な実績をまとめると、
- J1リーグ月間ベストセーブ賞4回(2025年)
- J1リーグ月間MVP(2025年10月)
- J1優秀選手賞(2025年)
- J1リーグベストイレブン(2025年)
- Jリーグ最優秀選手賞MVP(2025年)
GKのMVP受賞は楢崎正剛以来15年ぶりの偉業で、鹿島からの受賞は2009年の小笠原満男以来16年ぶり、4度目の快挙でもありました。
まとめ
横浜F・マリノスのユースには上がれなかった。高校・大学というルートを経て、それでもJリーグ最高の舞台に辿り着いた。
早川友基のキャリアは、遠回りに見えた道がいかに人を鍛えるかを証明するストーリーです。
MVP授賞式のスピーチで早川は「GKをやりたい、早川選手みたいになりたいと思ってもらえるような選手になりたい」と語っています。
自分の受賞を、GKというポジション全体の可能性を広げる契機にしたいという思いは、プレーだけでなく言葉からも伝わってきます。
鹿島アントラーズの背番号1を背負い、日本代表の正守護神争いに名乗りを上げた今、北中米ワールドカップへの挑戦という新たな目標が目の前に広がっています。
一歩ずつ確実にステップを踏み続けてきた守護神が、次にどんな景色を見せてくれるのか。
早川友基の物語は、まだ続いています。






















コメント