前川 黛也:日本

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ヴィッセル神戸のゴールマウスを守り続けるGK・前川黛也選手。

J1リーグ優勝、天皇杯制覇、そして日本代表選出と、クラブの黄金期をまさに最後尾から支えてきた守護神です。

191センチの恵まれた体躯と広い守備範囲、高い足元の技術を兼ね備えた前川は、ヴィッセル神戸のハイラインを機能させるうえで欠かせない存在として、国内屈指のGKへと成長を遂げました。

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原点と学生時代

前川黛也は、広島県広島市安芸区に生まれました。

父は元サッカー日本代表GKの前川和也であり、その影響もあってか、幼少期からボールに親しんできました。

ただし、最初からゴールキーパーだったわけではありません。

大分トリニータの下部組織を経てサンフレッチェ広島ジュニアユースへ進んだ前川は、中学2年生まではフィールドプレイヤーとして活動していました。

当時の身長は160センチ台。しかし中学3年生になると急激に身長が伸び、180センチに達する一方で、成長痛などの怪我にも悩まされました。

その体格の変化を機にGKへと転向。この決断がのちのキャリアを大きく変えることになります。

広島県立広島皆実高校に進学後も着実に力をつけ、卒業後は関西大学へ。

大学在籍中は全日本大学選抜に選ばれ、2015年にはユニバシアード代表にも名を連ねました。

同年にはセレッソ大阪への特別指定選手登録を経験。高校時代に始めたばかりの転向から、わずか数年でエリートへの道を歩み始めていました。

プロ入り後の歩みと転機

2017年、関西大学を卒業した前川はヴィッセル神戸へ加入。

1年目から背番号「1」を与えられましたが、当時の神戸には韓国代表GKのキム・スンギュが正守護神として君臨しており、出場機会はありませんでした。

それでも腐らず研鑽を重ね、2018年11月3日のJ1リーグ第31節・名古屋グランパス戦でスタメン起用され、念願のJリーグデビューを果たします。

その後もキム・スンギュや飯倉大樹との激しいレギュラー争いが続きました。

転機となったのは2020シーズンです。

新型コロナウイルスの影響で試合が過密日程となるなか、前川は徐々に出場機会を増やし、シーズン中盤からはレギュラーの座を確保。

 

 

11月から再開されたAFCチャンピオンズリーグにも正GKとして出場し、クラブ史上初の大会でベスト4進出に大きく貢献しました。

ただ、この大会には苦い記憶もあります。

準決勝の蔚山現代FC戦、延長後半終了間際に前川自身のペナルティエリア内でのファウルがPKを招き、チームは敗退。

試合後、前川はnoteに「敗因は僕のミス」と率直な言葉を綴りました。

その真摯な姿勢と大会全体での奮闘が評価され、翌2021年3月に自身初の日本代表選出を果たします。

父・和也もかつて日本代表GKとして活躍しており、Jリーグ発足後初となる親子二代での日本代表入りという歴史的な快挙でもありました。

2023シーズンは前川にとって大きなターニングポイントとなりました。

飯倉大樹の横浜F・マリノス移籍を機に、完全なる正守護神として開幕からフル稼働。

チームで唯一となる全34試合フルタイム出場を果たし、失点数をリーグ3位の29にとどめました。

 

 

11月12日のJ1第32節・浦和レッズ戦では、フリーキックからのクロスボールをキャッチし、即座に前線の大迫勇也へ配球。

この判断が劇的な勝利点につながり、GKとして初のJリーグアシストも記録しています。

ヴィッセル神戸の悲願であったJ1リーグ初優勝に、守護神として正面から貢献したシーズンでした。

 

 

シーズン終了後にはJリーグ優秀選手賞とフェアプレー個人賞をダブル受賞。その名は確かなものとなりました。

2024シーズンは出場停止の1試合を除く37試合に出場してリーグ連覇に貢献。

同年11月23日の天皇杯決勝ではガンバ大阪との関西勢対決に正守護神として臨みました。

コイントスで太陽が正面を向くエンドへの配置となり、前川は帽子をかぶってプレーするという場面も。

9分にダワンのヘディングシュートをほぼ見えない状態でセーブした際、「最初の20分は全く見えていなかった」と試合後に語っています。

1-0で勝利した神戸は天皇杯も制覇。前川はリーグ優勝に続く2冠達成の瞬間をゴールマウスで体感しました。

プレースタイルの特徴と主な実績

前川最大の武器は、守備範囲の広さです。

ヴィッセル神戸が採用するハイラインの戦術では、最終ラインの背後に広大なスペースが生まれやすく、GKには素早い飛び出しと正確な判断が求められます。

191センチの長身でありながら俊敏性を備えた前川は、相手のロングパスやクロスボールに対して大胆に飛び出し、エリアを広く使った守備で何度もチームを救ってきました。

 

 

また、足元の技術の高さも現代GKとしての大きな強みです。

ビルドアップへの参加、的確なフィードでの攻撃の起点作りは、神戸の攻撃的なサッカーと噛み合っています。

2023年の浦和戦でのアシストはその象徴的な場面と言えるでしょう。

 

 

代表的な実績をまとめると以下の通りです。

  • 天皇杯全日本サッカー選手権大会優勝(2019年、2024年)
  • Jリーグスーパーカップ優勝(2020年)
  • J1リーグ優勝(2023年、2024)
  • Jリーグ優秀選手賞受賞(2023年)
  • Jリーグフェアプレー個人賞受賞(2023年)

そして2021年3月から継続する日本代表選出歴、2023年11月のミャンマー代表戦でのA代表デビューも重要な節目です。

まとめ

中学2年生まではフィールドプレイヤーだった少年が、父と同じGKに転向し、父と同じ日本代表のユニフォームを着るまでになった。

前川黛也のキャリアは、その一文だけで十分に物語の輪郭が浮かびます。

しかし実際には、韓国代表との正守護神争い、ACL準決勝での苦い失点、長年の出場機会ゼロの時期と、決して平坦な道のりではありませんでした。

それでも着実に力をつけ、ヴィッセル神戸の黄金期の中心人物として不動の地位を確立した姿は、努力の蓄積がいかに結実するかを示しています。

2026シーズン、神戸はACLエリート初制覇とリーグタイトル奪還という新たな目標を掲げています。

その挑戦においても、背番号1を背負う前川黛也がゴールマウスを守り続けることは、チームにとってもサポーターにとっても、すでに当然の光景となっています。

この記事を書いた人
golazo

国内外のサッカーを長年追い続けるサッカーファン。
Jリーグ、海外リーグ、代表戦から学生サッカーまで幅広く観戦し、 独自の視点で試合や選手の魅力を伝えています。

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