ブラジル人らしい華やかなテクニックと、欧州の厳しい戦術眼を高いレベルで融合させた現代屈指のウインガー。
それが、現在FCバルセロナとブラジル代表で中心的な役割を担っているハフィーニャ(本名:ラファエル・ディアス・ベローリ)選手です。
エリート街道を歩んできたわけではない彼は、ポルトガル、フランス、イングランドと各地を渡り歩き、その度に自身の価値を証明してきました。
2024-25シーズン以降、バルセロナでの「覚醒」を経て、いまや世界で最も影響力のある攻撃的一員となったハフィーニャ。
本稿では、苦労人としての顔を持つ彼の激動のキャリアと、その不屈の精神に満ちたプレースタイルを詳しく解説します。
ヴァルゼアからの出発:ポルトガルでの下積時代
ハフィーニャ選手のルーツは、ブラジルのポルト・アレグレにあります。
幼少期は「ヴァルゼア」と呼ばれるブラジル特有の過酷な土のピッチで腕を磨きました。
実は、彼はブラジルの名門クラブの入団テストに何度も落ちるという挫折を経験しています。
最終的にアヴァイFCの下部組織に加入したものの、ブラジル国内でスター候補として脚光を浴びることはありませんでした。
転機となったのは2015年、ポルトガルのヴィトーリア・ギマランイスへの移籍です。
ここで頭角を現した彼は、名門スポルティングCPへと引き抜かれます。
ポルトガルの地で欧州サッカーの基礎を叩き込まれた彼は、サイドからの鋭い突破と正確なキックを武器に、一歩ずつ成功への階段を登り始めました。
恩師ビエルサとの出会い:リーズでの爆発
フランスのスタッド・レンヌでの1シーズンを経て、2020年にイングランド・プレミアリーグのリーズ・ユナイテッドへ加入します。
ここで出会った知将マルセロ・ビエルサ監督との出会いが、彼のキャリアを決定づけました。
ビエルサ監督の過酷なまでの「インテンシティ(強度)」を重視するスタイルの中で、ハフィーニャ選手は単なるテクニシャンから、攻守に走り回る「現代的ダイナモ」へと変貌を遂げます。
プレミアリーグの屈強なディフェンダーを翻弄するドリブルと、強烈な左足のシュートで得点を量産。
降格危機に瀕したチームを救う孤軍奮闘の活躍は、世界中のビッグクラブのスカウトを惹きつけました。
夢の地カンプ・ノウへ:批判を跳ね返した執念
2022年夏、チェルシーなど他のメガクラブから高額なオファーがあったにもかかわらず、彼は幼少期からの夢であったFCバルセロナへの移籍を強く希望しました。
移籍当初は期待されたほどのパフォーマンスが見せられず、メディアやサポーターから厳しい批判を浴びる時期もありました。
しかし、彼の真骨頂はここからの「逆襲」にありました。
2024-25シーズン、ハンス=ディーター・フリック監督が就任すると、ハフィーニャ選手は副キャプテン(後にキャプテン)としての責任感を背負い、驚異的なスタッツを叩き出します。
特にUEFAチャンピオンズリーグのバイエルン・ミュンヘン戦で見せたハットトリックは、彼が「バルサの顔」であることを証明する決定的な瞬間となりました。
2026年現在も、彼は卓越したリーダーシップで若手選手を牽引し、バルセロナ復活の象徴となっています。
プレースタイルの核心:献身性と「黄金の左足」
ハフィーニャ選手の魅力は、派手なゴールシーンだけではありません。
- 驚異的な走行距離: 攻撃だけでなく、自陣深くまで戻って守備に加わる献身性は、現代のウインガーにおいて傑出しています。
- 高精度のボールストライキング: 右サイドから中央へ切り込んで放つ左足のシュートや、FK・CKでのキック精度は世界トップクラスです。
- 戦術的柔軟性: 右ウイングだけでなく、中央のトップ下や左サイドでも機能する高い知性を持ち合わせています。
- 不屈のメンタリティ: どれほど批判されても練習で沈黙し、ピッチ上の結果で答えを出す精神的なタフさが彼の最大の武器です。
まとめ:努力で掴み取ったブラジルの「10番」
ハフィーニャ選手の歩みは、才能だけで片付けられるものではありません。
何度も挫折し、その度に這い上がってきた「努力の天才」の物語です。
ブラジル代表においても、2026年北中米ワールドカップ予選で中心的な役割を果たし、いまや王国の攻撃を司る存在となりました。
夢だったバルセロナでキャプテンマークを巻き、欧州の頂点を目指して戦う彼の姿は、多くの若手選手にとって最高のロールモデルとなっています。
今後、彼がどこまで伝説を積み上げていくのか。
黄金の左足から放たれる一撃に、これからも世界が熱狂し続けることは間違いありません。







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