現在の日本サッカー界において、背番号9を背負い、圧倒的な得点感覚でゴールを量産しているのが上田綺世選手です。
1998年生まれの彼は、これまでの日本人FWのイメージを覆すような、高い身体能力と「動き出し」の質、そして圧倒的なシュート技術を武器に、世界の舞台で着実に足跡を残してきました。
鹿島アントラーズでのプロデビューから、ベルギー、オランダへと渡った欧州での挑戦、そして日本代表の絶対的エースへと登り詰めるまでの、その輝かしいキャリアを振り返ります。
大学サッカー界から異例のプロ入り:法政大学と鹿島アントラーズでの覚醒
上田綺世選手のキャリアは、エリート街道のみを歩んできたわけではありません。
中学時代は鹿島アントラーズのジュニアユースに所属していましたが、ユースへの昇格は叶わず、鹿島学園高校へと進学しました。
そこで頭角を現した彼は、法政大学へと進学します。
大学サッカー界での上田選手はまさに無双状態でした。
1年生からエースとして活躍し、全日本大学サッカー選手権(インカレ)での優勝に貢献。
その得点能力と、相手DFの背後を一瞬で突く動き出しは、すでに大学生のレベルを遥かに超越していました。
2019年、異例の早さで法政大学サッカー部を退部し、古巣である鹿島アントラーズへの前倒し加入を決断します。
鹿島では、プロ1年目からその才能を遺憾なく発揮しました。
デビュー戦でのゴールを皮切りに、Jリーグの舞台でも「上田綺世の動き出し」は脅威となり続け、2021年には14ゴール、2022年には半年間で10ゴールを記録。
Jリーグ屈指のストライカーとしての地位を確立しました。
ヨーロッパへの挑戦:セルクル・ブルッヘでの爆発
2022年7月、上田選手はさらなる成長を求めてベルギー1部のセルクル・ブルッヘへと完全移籍します。
当初は欧州の激しいフィジカルコンタクトや、チームの戦術への適応に時間を要したものの、シーズンが進むにつれて驚異的なペースでゴールを量産し始めます。
ベルギーでの1年目(2022-23シーズン)、上田選手は公式戦40試合に出場し、日本人選手としてのベルギー1部リーグ最多得点記録を塗り替える22ゴールをマークしました。
ただ得点を取るだけでなく、自らボールを収め、前線で起点となるプレーも磨かれ、欧州のスカウトから大きな注目を集めることとなりました。
オランダの強豪フェイエノールトでの苦闘と飛躍(2024年 – 2025年)
2023年8月、上田選手はオランダの3大名門の一つであるフェイエノールトへ、クラブ史上最高額とも言われる移籍金で加入しました。
チャンピオンズリーグ(CL)という最高の舞台への挑戦が始まりましたが、そこには厳しい競争が待っていました。
加入当初は、エースFWサンティアゴ・ヒメネスの陰に隠れる時間が長く、途中出場がメインとなりました。
しかし、2024-25シーズン、限られたチャンスの中で結果を出し続けると、2024年末から2025年にかけて、その真価が爆発します。
2024年10月の怪我を乗り越えて復帰した2025年、彼はリーグ戦でハットトリックを含むゴールラッシュを見せ、オランダ・エールディヴィジの得点王争いのトップに躍り出ました。
特に2025-26シーズンは「上田綺世の年」とも言える活躍で、リーグ戦だけで18ゴール以上を記録。
PKに頼らず、左右両足、そして打点の高いヘディングでゴールを陥れる姿は、現地メディアから「欧州随一のストライカー」と称賛されるまでになりました。
日本代表(サムライブルー)のエースとして
上田選手のキャリアを語る上で、日本代表での活躍は欠かせません。
2019年のコパ・アメリカで大学生ながらA代表デビューを果たした当初は、決定機を逃す場面もあり、厳しい批判にさらされることもありました。
しかし、彼はその悔しさを糧に成長を続けました。
2022年のカタールワールドカップを経て、森保一監督率いるチームの「新エース」としての期待を背負うようになります。
2023年のアジアカップでは4ゴールを挙げ、チームの得点源として孤軍奮闘しました。
そして2026年北中米ワールドカップ・アジア最終予選では、勝負どころでの決定力を発揮。
2025年3月のバーレーン戦などで勝利を決定づける仕事を果たし、日本の8大会連続となるワールドカップ出場決定の立役者となりました。
現在、日本代表の通算得点記録を塗り替える勢いでゴールを積み重ねています。
上田綺世のプレースタイル:なぜ彼は「特別」なのか
上田選手の最大の特徴は、一瞬の隙を突く「動き出しの質」にあります。
DFの視野から消える予備動作、そしてスペースを見つける嗅覚は、世界トップレベルのストライカーと比較しても遜色ありません。
加えて、シュートのバリエーションの豊富さも魅力です。
- 強烈なミドルシュート: 少ない振りから放たれるシュートは正確かつ強力です。
- ヘディング: 長身ではありませんが、圧倒的な跳躍力と空中でのバランス感覚で、大型DFを相手に競り勝ちます。
- 両足の精度: 利き足の右だけでなく、左足でも精度の高いシュートを放てます。
また、近年では前線からの献身的な守備や、屈強なDFを背負ってボールをキープするポストプレーも飛躍的に向上し、現代的なセンターフォワードとして完成形に近づいています。
最後に
上田綺世選手のこれまでの歩みは、常に高い壁に挑み、それを個人の努力と結果で乗り越えてきた歴史です。
鹿島での下積み、ベルギーでの覚醒、そしてオランダの名門での正エース奪取。
その一歩一歩が、現在の「日本最強のストライカー」を作り上げました。
2026年のワールドカップ本大会において、彼が世界の強豪を相手にネットを揺らす姿を、多くのファンが確信しています。
上田綺世というストライカーのピークは、まさに今、これから訪れようとしているのです。












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