FCバルセロナの象徴である「ラ・マシア(下部組織)」が生んだ最高傑作の一人として、現在世界中の注目を集めているのが、若きDFパウ・クバルシ選手です。
2024年に彗星のごとくトップチームに現れると、10代とは思えない冷静沈着な守備と、中盤の選手顔負けのパスセンスで、瞬く間にバルセロナとスペイン代表の主力に定着しました。
2026年現在、19歳となった彼は「新時代のセンターバック」として、名門バルセロナの守備陣を統率するリーダーへと成長を遂げています。
本稿では、驚異的なスピードで進化を続けるパウ・クバルシ選手のこれまでの歩みと、その非凡な才能について詳述します。
カタルーニャの至宝:ラ・マシアでの芽生え
2007年、カタルーニャ州の小さな村エスタニョールに生まれたクバルシ選手は、地元ジローナFCの下部組織でキャリアをスタートさせました。
しかし、その突出した才能はすぐにビッグクラブの目に留まり、2018年に11歳でFCバルセロナのラ・マシアに加入します。
彼は育成年代において、常に実年齢よりも上のカテゴリーでプレーし続けてきました。
ラ・マシアのコーチ陣が驚嘆したのは、彼の「守備のインテリジェンス」と「ビルドアップの正確さ」です。
2023年には、弱冠16歳にしてUEFAユースリーグに出場。
ラミン・ヤマル選手らと共に、将来のバルセロナを背負って立つ逸材として、トップチーム昇格への階段を異例の速さで駆け上がっていきました。
17歳での衝撃デビューと欧州を震撼させたナポリ戦
クバルシ選手の運命が大きく動いたのは、2023-24シーズンでした。
当時のシャビ・エルナンデス監督は、負傷者が相次ぐ守備陣の窮地を救うべく、当時17歳になったばかりの彼をトップチームに抜擢します。
2024年1月の国王杯でデビューを飾ると、その数日後にはラ・リーガでの初出場を果たしました。
世界が彼の名に衝撃を受けたのは、同年3月のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)ラウンド16、ナポリ戦でした。
CL初出場という大舞台、しかも相手は世界屈指のストライカー、ビクター・オシムヘン選手。
誰もが若者の苦戦を予想するなか、クバルシ選手は完璧なマークで相手を封じ込め、卓越した縦パスで攻撃の起点となり続けました。
試合後、彼はデビュー戦にしてプレイヤー・オブ・ザ・マッチ(MVP)を受賞。
この瞬間、彼はバルセロナの「将来」ではなく「現在」に不可欠なピースとなったのです。
「現代型DF」の完成形:そのプレースタイル
クバルシ選手が「ピケの後継者」と称される理由は、単に守備が強いからだけではありません。
彼のプレースタイルには、現代サッカーが求めるセンターバックの理想形が詰まっています。
- 驚異的なパスレンジ: 相手のプレスを無効化する鋭い縦パスや、逆サイドのウイングへ正確に届けるロングフィードは、チームの戦術的な核となっています。
- 冷徹なまでの冷静さ: 激しいプレッシャーを受けても動じず、最適な選択肢を選び取るメンタリティは、ベテラン選手さえ凌駕します。
- 読みの鋭さ: フィジカルだけに頼るのではなく、相手の動きを先読みしてインターセプトする能力に長けており、ファウルが極めて少ないのも特徴です。
- ビルドアップのリーダー: 最終ラインからゲームを組み立てるその姿は、守備者であると同時に、第2の司令塔としての役割を果たしています。
スペイン代表と2025-26シーズンの飛躍
クラブでの活躍は、当然ながらスペイン代表への招集へと繋がりました。
2024年3月には、セルヒオ・ラモス選手の記録を塗り替える史上最年少DFとしてA代表デビュー。
同年夏のパリオリンピック2024では、主力としてスペインの金メダル獲得に大きく貢献しました。
2025-26シーズン、19歳となったクバルシ選手はバルセロナで背番号を「2」へと変更。
新監督の下で、ハイラインを維持する守備戦術の要として不可欠な存在となっています。
2026年現在、彼はリーグ戦のほぼ全試合に先発出場しており、パス成功率は常に90%以上を維持。
間近に迫った2026年北中米ワールドカップでも、スペイン代表の守備の柱として世界を驚かせる準備が整っています。
まとめ:ラ・マシアの誇りを背負う若き巨塔
パウ・クバルシ選手のキャリアを振り返ると、それはバルセロナが誇る「哲学」の勝利であることが分かります。
フィジカルやスピードを重視する現代のトレンドの中で、技術と知性を武器に守備の概念を塗り替えようとしている彼の姿は、多くのサッカーファンに希望を与えています。
17歳で欧州を驚かせ、19歳にして名門のリーダーとなったクバルシ。
彼がこのまま成長を続ければ、かつてのプジョルやピケのように、バルセロナの一時代を築く伝説的なディフェンダーになることは疑いようがありません。
カタルーニャの空の下、若き巨塔が描く成長の軌跡は、まだ始まったばかりです。






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