FIFAワールドカップ2026は7月19日(日本時間20日)の決勝で幕を閉じ、スペインが延長戦の末にアルゼンチンを1-0で下して4大会ぶり2回目の優勝を果たしました。
史上初めて48カ国が参加し、アメリカ、カナダ、メキシコの3カ国共催という初の試みで行われた今大会は、ピッチ上の熱戦だけでなく、チケット価格や大会運営、開催国大統領の振る舞いを巡る議論でも大きな注目を集めた大会でした。
まず大会そのものの結果を振り返ります。決勝はスペインとアルゼンチンの一戦となり、前半、後半とも得点は生まれず、延長後半にフェラン・トーレスが決めた1点でスペインが優勝を手にしました。
国際Aマッチ38試合無敗という世界記録を樹立しながらの戴冠です。
3位決定戦はイングランドがフランスを6-4で下し、合計10得点は3位決定戦の歴代最多記録となりました。
アルゼンチンは史上3チーム目の連覇を狙いましたが、決勝で涙をのんでいます。
48チーム制、104試合という過去最大規模のトーナメントは、こうして幕を閉じました。
一方で、大会を通じて繰り返し取り沙汰されたのがチケット価格の高騰です。
今大会からFIFAは「ダイナミックプライシング」と呼ばれる、需要に応じて価格がリアルタイムで変動する販売方式を初めて導入しました。
決勝戦の最低価格は開幕前の時点で4185ドルとされ、前回のカタール大会の602ドルから約7倍に跳ね上がったと報じられています。
イングランド代表がグループステージから決勝まで勝ち進んだ場合、1人分の観戦だけで5000ポンドが必要になるという試算も示され、サポーター団体のフットボール・サポーターズ・ヨーロッパは、この価格設定を「法外的」と非難する声明を発表しました。
開幕直前の6月上旬には、ニューヨーク州とニュージャージー州の司法当局がFIFAに対し、価格設定でファンが不当な扱いを受けていないか調査すると発表する事態にも発展しています。
スターマー英首相も「チケットを購入したファンが不当な扱いを受けないように保証されなければいけない」とメディアで発言しました。
その一方で、開幕直前になってもグループステージで1000枚以上の売れ残りが出ている試合があったとも報じられており、高額なチケット設定が需要とかみ合っていなかった実態も浮かび上がっています。
大会後にはさらなる規模拡大の議論も動き出しました。インファンティーノ会長は大会中、初めて採用された48チーム制について「大成功だった」と評価し、アフリカから出場した10チーム中9チームが決勝トーナメントに進んだことを実績として挙げています。
そのうえで、2030年大会からの64チーム制拡大について、大会後にFIFAの関連委員会で正式に検討する考えを示しました。
この構想はもともと南米サッカー連盟が提案したもので、ウルグアイサッカー協会なども支持を表明しています。
一方でUEFAのチェフリン会長は「悪い考え」と述べており、加盟協会の意見は割れています。
なお、インファンティーノ会長が南米各国連盟の会長らと構想について会談した場所がニューヨークのトランプタワーだったことも報じられており、FIFA運営とアメリカの政治権力との距離の近さを象徴する一幕として話題になりました。
そのアメリカの政治との近さは、大会運営そのものにも影を落としました。
決勝トーナメント1回戦のボスニア・ヘルツェゴビナ戦で一発退場となった米国代表FWフォラリン・バログンを巡る一件です。
本来なら次戦は出場停止となるはずでしたが、トランプ大統領がインファンティーノ会長に直接電話をかけて再検討を求めたと海外メディアが報じ、FIFA規律委員会は出場停止処分の執行を1年間の猶予という形で事実上保留する異例の決定を下しました。
トランプ大統領はこの決定を受けて自身のSNSで「正しい判断を下し、大きな不公平を覆してくれたFIFAに感謝する」と投稿しています。
対戦相手だったベルギーサッカー協会は「ワールドカップの歴史上、このような決定が下されたのは初めてだと思う」と抗議し、元イングランド代表のゲイリー・ネビル氏も強く批判しました。
インファンティーノ会長は後日、「司法機関は独立している」と述べてトランプ氏からの電話は認めつつ、決定への影響は否定しています。
決勝当日にはトランプ大統領自身が大きな注目を浴びる場面もありました。
大統領専用ヘリコプター「マリーンワン」で会場入りし、インファンティーノ会長とともにボックス席で観戦したトランプ大統領は、試合後の表彰式でピッチに降り、審判団や両チームの選手にメダルを授与しました。
しかし観客に手を振った際には、スタジアム中から音楽をかき消すほどのブーイングと指笛が起きたと米メディア「ジ・アスレチック」が報じています。
優勝したスペインがトロフィーを掲げる記念写真の場面では、インファンティーノ会長に促されて表彰台の端へ移動する場面もありました。
トランプ大統領は前年のクラブワールドカップの表彰式でも、優勝したチェルシーの輪の中心に居座り続けて物議を醸しており、今回も同じ懸念がファンの間で語られていました。
地元では大統領の来場に合わせて抗議活動が組織され、活動家が観客に特製のレッドカードを配布していたとも伝えられています。
また、大会前から指摘されていたのが北米開催特有の猛暑問題です。
16会場のうち半数以上が選手や観客にとって危険な暑さになると事前に指摘されており、前年に同じ地域で行われたクラブワールドカップでは、選手から「信じられない暑さだ」といった声が相次いでいました。
FIFAはアトランタやヒューストンなど屋根付きスタジアムを日中の試合に活用する対応を取りましたが、猛暑への懸念は大会を通じて度々話題に上りました。
SNS上での反応は、熱狂と行き過ぎた投稿の両面が見られました。
日本戦の後には、対戦相手だったオランダの選手に対して日本語での誹謗中傷が相次ぐ事態が報じられ、専門家は「試合中や試合直後のかっとなった状態が悪質な投稿を生みやすい」と冷静な利用を呼びかけています。
試合そのものについては、10得点に達した3位決定戦のような打ち合いが話題を呼ぶ一方、消化試合になりがちな3位決定戦の意義そのものを疑問視する声も広がりました。
48チーム制についても、アフリカ勢の躍進を歓迎する声がある一方、決勝トーナメントの試合数が増えたことによる過密日程や、初出場国と伝統国との実力差が目立った試合への評価は分かれています。
ピッチの外では、チケット価格、判定への政治介入、開催国大統領の振る舞いといった論点が繰り返し取り沙汰され、ピッチの中では18歳のラミン・ヤマルや、W杯最多得点記録を更新したメッシの活躍が語り継がれる大会となりました。
史上最大規模となった今大会の評価は、2030年大会に向けた64チーム拡大構想の行方も含め、しばらく議論が続きそうです。





















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