両足を自在に操るドリブルと、爆発的なスピードから繰り出す高精度のフィニッシュ。
孫興民(ソン・フンミン)は「アジア史上最高のサッカー選手」と称され、プレミアリーグで数々のアジア人初記録を打ち立てながら、トッテナムのキャプテンとして10年にわたってロンドンのピッチに立ち続けた韓国が誇るスーパースターです。
父の英才教育:勝利より「基本」を叩き込まれた少年時代
1992年7月8日、韓国・江原道春川市生まれ。
父親はKリーグとU-23韓国代表経験を持つソン・ウンジョンです。
孫は小学校と中学校ではサッカー部に所属せず、父が運営するサッカースクールで直接指導を受けるという韓国では異例の経歴を持っています。
父の指導は勝敗にこだわらず、パス・ドリブル・リフティング・両足練習といった基礎の徹底に特化したもの で、この土台が後に世界を驚かせる技術力の源となりました。
2009年にナイジェリアで開催されたFIFA U-17ワールドカップではチームトップの3ゴールを記録し、韓国代表のベスト8進出に貢献。
同年、ドイツのハンブルガーSVのアカデミーへ加入し、2010年にトップチームデビューを飾りました。
レバークーゼン:ブンデスリーガで開花した両足の魔術師
2013年、バイエル・レバークーゼンへ移籍。
シーズン26試合に出場して12ゴールを記録し、ブンデスリーガでの地位を確立しました。
2014年のブラジルワールドカップでも韓国代表として出場し、アルジェリア戦でゴールを決めます。
レバークーゼンでの2シーズンを通じて欧州トップクラブの注目を集めるようになり、プレミアリーグへの扉が開かれることになります。
トッテナム10年:アジア人の歴史を塗り替えた黄金時代
2015年にトッテナム・ホットスパーへ加入。
以降10年にわたってクラブの顔として活躍し続けました。
記録の連続でした。2020-21シーズンにはアジア人初となるPFA年間ベストイレブンに選出され、2021-22シーズンにはモハメド・サラーと並ぶ23ゴールでアジア人史上初のプレミアリーグ得点王を獲得。
2023年にはアジア人初のプレミアリーグ通算100ゴールを達成しました。
また2020年にはFIFAプスカシュ賞(年間最優秀ゴール賞)を受賞しており、その芸術的なゴールセンスも世界から称えられました。
キャプテンとしてチームを牽引した2024-25シーズンには、トッテナムが1983-84年シーズン以来41年ぶりとなるUEFAヨーロッパリーグ制覇を達成。
試合後、孫は「チームに残り続けた理由は何か特別なことをしたかったから」と語り、悲願のタイトルに喜びをあらわにしました。
MLSへ:新天地ロサンゼルスで挑む新章
2025年8月、10年を過ごしたトッテナムを退団し、MLSのロサンゼルスFCへ移籍。
移籍金は約38億円とMLS史上最高額となりました。
33歳を迎えてもなお衰えを見せないそのプレーは、北米の新天地でもアジアサッカーの旗手として期待を一身に集めています。
まとめ
父の手作り練習場から始まり、ハンブルク・レバークーゼン・トッテナムと段階を踏んで世界の頂へ駆け上がった孫興民。
アジア人初の記録を次々と更新し続けたその軌跡は、「アジア人選手の限界」という言葉をスタジアムの外へ蹴り出した、唯一無二の証明です。








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