現代のフットボール界において、圧倒的なスピードと攻撃性能を兼ね備え、右サイドの支配者として君臨しているのがモロッコ代表のアクラフ・ハキミ選手です。
レアル・マドリードの育成組織で育ち、欧州の主要リーグを渡り歩きながら着実に進化を遂げてきた彼は、現在パリ・サンジェルマン(PSG)において世界最高のアタッキング・フルバックとしての評価を揺るぎないものにしています。
本記事では、スペインでの芽生えからドイツ、イタリアでの飛躍、そしてモロッコを歴史的な快挙へ導いたナショナルチームでの歩みまで、彼の輝かしいキャリアを網羅的に解説します。
レアル・マドリードでの産声とドルトムントでの覚醒
ハキミ選手の物語は、スペインの首都マドリードで始まりました。
モロッコ人の両親のもとに生まれた彼は、8歳でレアル・マドリードのアカデミー「ラ・ファブリカ」に入所します。
順調にカテゴリーを上げた彼は、2017年にトップチームデビューを果たし、モロッコ人選手として初めてチャンピオンズリーグ(CL)制覇を経験するという幸運なスタートを切りました。
しかし、当時のレアルには絶対的な右サイドバックであるダニ・カルバハル選手が君臨しており、出場機会を求めてドイツのボルシア・ドルトムントへの2年間の期限付き移籍を決断します。
このドイツでの時間が、彼の才能を世界に知らしめることとなりました。
ドルトムントの攻撃的な戦術の中で、ハキミ選手はサイドバックの概念を覆すほどの得点関与能力を発揮し、2シーズンで公式戦12ゴール17アシストという驚異的な数字を記録。
「爆速」と称されるスプリント能力を武器に、欧州屈指の若手サイドバックへと成長を遂げました。
インテルでのスクデット獲得とサイドバックとしての完成
ドルトムントでの活躍後、ハキミ選手は2020年にイタリアの名門インテル・ミラノへと完全移籍します。
アントニオ・コンテ監督のもと、3-5-2の右ウイングバックという彼にとって理想的な役割を任された彼は、セリエA特有の戦術的な規律を学びました。
守備面での課題を克服しつつ、攻撃では右サイドを一人で制圧する圧倒的な機動力を披露。
リーグ戦だけで7ゴール10アシストをマークし、インテルの11年ぶりとなるセリエA制覇(スクデット)に大きく貢献しました。
このイタリアでの1年間により、彼は単なる快速ランナーから、攻守のバランスを高い次元で維持できる完成されたサイドバックへと進化したのです。
パリ・サンジェルマンでの頂点と盟友との絆
2021年、ハキミ選手は約6,000万ユーロ(さらにボーナス)という巨額の移籍金でパリ・サンジェルマン(PSG)に加入しました。
フランスの地でも、彼の勢いは衰えませんでした。
キリアン・エムバペ選手とピッチ内外で深い友情を築き、その連携はPSGの攻撃の生命線となりました。
2024-25シーズン以降、ルイス・エンリケ監督の戦術下では、よりインサイドに入ってプレーする偽サイドバックとしての役割もこなすようになり、プレーの幅をさらに広げています。
2026年現在、彼はPSGの副主将格としてチームを牽引しており、リーグ・アンの連覇はもちろん、悲願であるCL制覇に向けて中核を担っています。
常に時速35kmを超えるスプリントを繰り返し、右サイドから決定機を演出し続ける彼の姿は、パルク・デ・プランスのファンにとって最大の希望となっています。
モロッコ代表:アフリカ勢初のベスト4という歴史的快挙
ハキミ選手のキャリアを語る上で、モロッコ代表での活躍は欠かせません。
彼はスペイン代表からの誘いを断り、自身のルーツであるモロッコ代表を選択しました。
その決断が、2022年カタールワールドカップでの歴史的なドラマへと繋がります。
右サイドバックとして全試合に出場し、強豪スペインやポルトガルを撃破する原動力となりました。
特にスペイン戦のPK戦で見せた、勝負を決める大胆不敵な「パネンカ(チップキック)」は、世界中のファンを驚かせました。
アフリカ勢、そしてアラブ勢として史上初となるワールドカップベスト4進出の快挙は、彼が代表チームの精神的支柱であったからこそ成し遂げられたものでした。
2026年ワールドカップ北米大会に向けても、彼はキャプテンとして「アトラスの獅子」をさらなる高みへ導く覚悟を持っています。
プレイスタイル:異次元の加速力と正確なキック
ハキミ選手の最大の武器は、世界トップクラスの加速力です。
一度走り出せば止めることは困難で、相手守備陣を背後から一気に切り裂きます。
また、精度と威力を兼ね備えた右足のクロスや、直接フリーキックからゴールを奪う得点力も魅力です。
近年では戦術理解度が飛躍的に向上し、中盤でのビルドアップに参加する知性も身につけました。
守備面でも、そのスピードを活かした素早いリカバリーでピンチを未然に防ぎます。
90分間を通してサイドライン際をアップダウンし続ける無尽蔵のスタミナは、現代サッカーにおいて最も希少価値の高い才能の一つと言えるでしょう。
まとめ:右サイドの歴史を塗り替える存在
アクラフ・ハキミ選手のキャリアは、常に変化と成長を恐れない挑戦の連続でした。
レアル・マドリードで育ち、ドイツ、イタリア、フランスと主要リーグを制覇してきたその実績は、27歳という年齢を考えれば驚異的です。
彼は単なる選手の一人に留まらず、モロッコとアフリカの誇りを背負って戦うアイコンとなりました。
2026年、選手として最も脂の乗った時期を迎えている彼が、今後どれほどのタイトルを掲げ、右サイドバックというポジションの歴史をどのように更新し続けるのか。
ハキミ選手の全盛期は、今まさに最高潮を迎えようとしています。















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